魅惑の東海道本線


 彼は、Nゲージをたしなむモデラーなのだが、しかもその中でも、'56−11から'60−6までの東海道本線を駆け抜けた車両しか作らない、と言うかなり偏った嗜好の持ち主である。昔は、もっとミーハーな車両も持っていたらしいのだが(24系あさかぜとか)いつぞやの鉄道ファンの「黄金時代の東海道本線を行く」という特集を見て、青大将に目覚めたらしい。それ以来、彼はこの時代の車両を作ることに全力を注いでいる。
 しかし、彼は嘆く。「資料が少ない」「キットが出てない」と。そりゃそうだろう。時代が古いと必然的に資料も少なくなるし、誰がこんな時代の車両をNで出すというのだ。第一、売れるわけがない。
 そして、ついに彼は立った。資料を本格的に集め始めたのである。彼は知った。思った以上に資料というのは落ちているもんだと。彼はひたすらコピーした。その金額推定10000円。枚数にして1000枚である。彼いわく「コピー機とお友達になった気分だ。」そりゃそうだろう。できればテスト前なんかもその調子で勉強してほしいものだ。彼にその気力のうち何分の一かだけでも学問に回す気があったならば、という感慨を抱かずにいられない。ともあれ、その甲斐あってようやくその時代の東海道本線の急行列車の編成の変遷をほぼ把握することに成功した。この研究成果は、彼の所属する北大鉄研の例会で発表され、さらに、何らかの形で公の場に発表したい、と彼自身は言っている。
 これで、資料の件はかたがついた。後は車両である。しかし、彼はめげない。なければ作ればいい。その信念のもと、彼は孤独な戦いを続けている。窓枠移植が得意技と豪語し、今まで、マイ38・マロネフ29(ダブルルーフ)・マイテ58・マロネロ38・マロネ39・スシ28 151・マロネ38をものにした。さらに、彼にとっては避けて通れなかったマロネ29もタヴァサホビーハウスから発売されるなど、彼にとっての追い風も吹きつつある。実に喜ばしいことだ。
 実際、彼の、「思い込んだら一直線」的な部分というのは結構すさまじいものがあり、北大入試10日前に雪の舞い散る山崎に(彼の実家から約30分)20系の写真を撮りに行ったり、入試前日に札沼線に乗りに行ったり、あるいは帰省の際にはいまだ一度も飛行機を使用したことがないあたり、もはや狂信的、というレベルである。
 あくまで彼の本流は模型だが、写真も撮るし(愛機:ミノルタα-5xi)、旅行もする。特に青春18切符利用の頻度は高く、帰省の際にはたいてい利用している。当然のごとく、彼が撮影対象とする車両は、「古き良き時代」のものが主である。

 と思っていたのだが、実は、彼が所属している(していた?)サークルの会誌に投稿した駄文が発掘された。どうやら、「何らかの形で公の場に公開したい」ということの結果らしい。このマニアックな文章、一部の人間にとってはかなり利用価値があるものとは思われるのだが、恐らく大多数の人間にとってはかなり使えない文章であると思われる。しかし、枯れ木も山の賑わいとも言うので、ここのほめぱげのコンテンツを増やす、という目的でアップしてみんと思う。ただ、分量が分量なので一度にアップするだけの根性はないので、順次公開していこうと思う。

自己紹介に戻る
トップに戻る