四.Cロネ

2等C寝台とは、非冷房の2等寝台車であり、マロネ29・38、スロネ30・マロネフ29・38、マロネロ38等がこれに該当する。

 マロネ29
 Cロネの最大勢力である。生まれは戦前、マロネ37300→マロネ37 1〜43→マロネ29 1〜7、マロネ37350→マロネ37 44〜92→マロネ29 21〜25・31、マロネ37400→マロネ37 92〜138→マロネ29 101〜130の、計43両が戦後になっても2等寝台車として活躍していた。他の車両は戦時改造で3等車に格下げされたままそれっきり、というのが大部分であるが、一部にはその他の改造や戦災などもいた。
 形態的には大きく3つに分けることができる。それぞれ前身に対応して1〜7がダブルルーフ・窓の天地幅小(660mm)、21〜25・31がダブルルーフ・窓の天地幅大(735mm)、101〜130がシングルルーフ、となっている。なお、31だけ番号が離れているが、洗面所と便所の位置が変わったためらしく、外観的にも、この部分の窓配置が若干違う。また、101〜130も窓割の差とリベットの有無で2つに分けることができる。101・102は、車体外周、シル・ヘッダーにリベットがあるが、それ以降の車両にはこれがない。また、窓割も微妙だが差がある。
 配置に関してだが、両数が多い上に、資料不足で’58―10現在のものしかわからない。よって、不本意ながらこの時のものだけをまとめておいた。

札サツ 104・107・109
東オク 119〜130
東シナ 110〜118
広ヒロ 5〜7・101
門ハイ 25・31・102・103・105・106・108
門サキ 21〜24
熊クマ 1〜4

 マロネフ29
 一言でいうと、マロネ29の緩急車バージョンである。マロネ29と同じくダブルルーフ・窓の天地幅小のマロネフ37500→マロネフ37 1〜23→マロネフ29 1〜4、ダブルルーフ・窓の天地幅大のマロネフ37550→マロネフ37 24〜27→マロネフ29 11〜13、シングルルーフのマロネフ37550→マロネフ37 28〜30→マロネフ29 101・102、というように分けることができる。ただ、マロネフ29 11〜13はマロネ29 21〜25・31と違ってリベットが少ない(縦のリベットがない)。ちなみに、「マロネ29改造のマロネフ29」というものも存在はしたが、これは’63(S38)改造なのでこの時代には存在しない。よって、まかり間違っても、「あさかぜ」などにこの改造車をはさんではならない。’58―10までの配置の変遷は以下の通り(空白部は不明)。

  56―11 57―10 58―10 11     大ミハ
1   東オク 大ミハ 12 東シナ   大ミハ
2 天リウ 天リウ 天リウ 13 東シナ 東シナ 東オク
3 天リウ 天リウ 天リウ 101 東シナ 東シナ 東オク
4     大ミハ 102 東シナ   東オク

 スロネ30
 戦後新製のCロネである。マロネ29が開放式寝台(ツーリスト)だったのに対して、この車両は個室寝台車だった。1〜10の10両で、1〜5が東シナ、6〜10が大ミハ所属である。

 マロネ38
 もともとは戦前に上野−青森間急行とこれに接続する北海道内急行用として7両が製造されたマロネ37480である。半室が個室に、残りがツーリスト式寝台になっており、シングルルーフで外周、シル・ヘッダーにリベット、というスタイルである。全車が東シナに配属されている。
 初期に発売されたkitcheNのキットはリベットがなく、次に続いたKSモデルもなかったっぽいが、結局レボがすべての問題を解決してくれた。

 マロネロ38
 この車も戦前製で、マロネロ37600→マロネロ37→マロネロ38という変遷をたどった車両である。構造的にはロザ部がオロ35(転換クロス)、ロネ部がマロネ29(ツーリスト)となっている。1〜6・9〜16と、寒地用として北海道にいた21・22の計16両がいて、各車両の配置の記録は次の通り。
  56-1157-1058-1059-9 56-1157-1058-1059-9
1門サキ門ハイ門モコ門モコ10門サキ門ハイ門モコ門モコ
2大ミハ大ミハ大ミハ東シナ11門サキ門ハイ門モコ門モコ
3門サキ門ハイ青ハコ青ハコ12大ミハ大ミハ大ミハ東シナ
4門サキ門ハイ青ハコ青ハコ13門サキ門ハイ門モコ門モコ
5門サキ門ハイ青ハコ青ハコ14大ミハ大ミハ大ミハ大ミハ
6門サキ門ハイ青ハコ青ハコ15大ミハ大ミハ大ミハ東シナ
9門サキ門ハイ青ハコ青ハコ16大ミハ大ミハ大ミハ大ミハ
21・22は東海道とは直接関係なかったので省略した。
 外観は(マロネ29+オロ35)÷2、といった風情であるが、リベットのに関しては1〜6がリベットあり、9〜16・22はリベットなしの全溶接車体であった。

 マロネフ38
 ここで解説する車両の中で、もっともマイナーといってもいいであろう。マイネロ37260→マイネロフ37260→マイネロフ37→マイネロフ29→マロネフ38という、実に複雑な変遷をたどった珍車(?)である。この車は11・12の2両だが、これとは別にマイロネフ37280も、のちにマロネフ38を名乗っているが、こちらの車両は1・2・3の3両で、これらの車はのちにマロネフ58に改称されており、まったく別の車である。もともとは11が東シナ、12が大ミハに配属され、定期運用はなくもっぱら臨時列車に使用していたようだが、(例.'55,6,18 MRA国際使節団輸送)'59−9改正から「能登」に使用すべく12が東シナに転属となった。

 マロネ39
 マロネ37400→マロネ37と言う変遷を経た車のうち(要するにシングルルーフのマロネ29)、戦時改造でマハ47となっていたマハ47 103〜105(マロネ37410〜412→マロネ37 103〜105)を戦後日本人が乗れる2等寝台車を、という気運の中、区分寝室式2等寝台車として改造し、生まれたのがこのマロネ39である。なぜ元のツーリスト式として復元しなかったかと言うのは、種車の窓配置と睨めっこした結果、そのようにした方が定員が多く取れる(マロネ37:28人・マロネ39:32人)上に、寝台の全長も1780mmから1900mmに伸ばせる、という理由だったらしい。今から考えるとなんともいじましい話だが、当時(’50)日本人が自由に利用できる寝台車と言うのはなく(マロネ40・41がいたが、基本的に外国人優先であった)、一人でも多く、というのは至上命題であった。この改造に際し、片方のデッキが洗面台となりデッキを潰した関係で種車とは概観上その部分に若干の差異があり、また前位・後位が入れ替わっている。この車両を元に新製されたのがスロネ30、ということになる。種車にリベットがあったため、この形式の3両ともに、車体外周及びシル・ヘッダー上にリベットあり、というスタイルである。とはいえ、この車両はこの時代には定期運用には入っておらず、もっぱらロネ29・30の代用として使われていたようだ。全車東シナ所属。
 そのものズバリは出てない。改造前のロネ37も、厳密には発売されていない。一番近いのがレボの「マロネ29 101/102」であり、こいつをベースにでっち上げるのが一番の近道だろう。

形式メーカー形態定価製品名備考
マロネ29キングT8800マロネ37350Wルーフ マロネ29 21〜25タイプ
キングB6200マロネ37400リベなし
kitcheNC2300マロネ37リベなし 絶版
タヴァサC1700マロネ29 100番代リベなし
KSC980マロネ37リベなし
レボC1800マロネ29 101/102101・102タイプ
キングT10900マロネ37300Wルーフ マロネ29 1〜7タイプ
レボC1800マロネ29 1-7 マロネ37300Wルーフ
レボC1800マロネ29 21-25 マロネ37350Wルーフ
レボC1800マロネ29 103以降 リベット無リベなし
レボC1800マロネ29-31マロネ29 31 縦リベなし
キングT4200マロネ29 103〜 (マロネフ29 111〜)PEシリーズ リベなし
マロネフ29タヴァサC2700マロネフ29 100番代シングルルーフ
KSC980マロネフ37シングルルーフ
レボC1800マロネフ29-100シングルルーフ
レボC1800マロネフ29 1-4Wルーフ
レボC1800マロネフ29 11-13Wルーフ
キングT10900マロネフ37500Wルーフ マロネフ29 1〜4タイプ
スロネ30レイルC1500  
KSC980  
レボC1800  
キングT4300  
マロネ38kitcheNC2300 リベミス 絶版
KSC980 リベミス?
レボC1800  
キングT3980  
マロネロ38kitcheNC2300マロネロ37リベなし 絶版
YトレインC1700 リベなし
KSC980マロネロ37リベなし
レボC1800 リベあり
キングT3980マロネロ38 (マロネロ37600)リベあり
マロネフ38キングT8500マロネフ3811〜Eシリーズ
レボC1800マロネフ38 11/12 

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